<NikonD2x+18~200>
ハヤサキスタジオのアシスタント時代に作品撮影でサックスを撮影した。
サックス皆さん知ってますよね。
楽器のサックス。
友達から作品撮りの為それを借りた。
4×5のカメラを据えてタングステンライトを1灯づつトレペ越しに当てて行く。
指を乗せる周りがとてもカッコいいんです!
パイプが何本も縦に走っていて指を乗せる所は丸く切った玉虫色の貝が埋め込んでありついつい目が行ってしまいます。
現像からあがったフィルムに定着されたサックスはカリカリしたとても金属の質感の有る良い写真だと思い、オヤブン(社長、早崎治氏)主催のコンペに自信を持ってその写真で挑戦!
結果、敗退です。
敗退どころかオヤブンの激怒に触れてしまいました。
何故だと思いますか?
サックス=楽器
楽器=音が出る
音が出る所=ラッパ部分
僕がついつい目が行ってしまった所は二の次なのです。
コンペに参加したアシスタント全員の前で、オヤブンはスタジオ中に轟く声で僕に向かって言った。
「こんな所一生懸命撮って何になる!放っといても奇麗に写るわ、澤田!!!楽器を撮るなら美しい音色が出るラッパを奇麗に撮らんか!」オヤブンの言葉が脳天から足に雷のように僕の体を裂いて行った。
撃沈です。
確かに私が撮ったラッパ部分はお世辞にも奇麗では無かった。
それから徹夜を2回してあがったサックスの写真をオヤブンに見て頂き「これぐらい写っていれば良いだろー少し音色が滲み出て来た!」
あれから20年以上経ちますが、今サックスを撮影して、あのサックス以上に奇麗にラッパを撮る事が出来るカメラマンになれたと思います。
オヤブンの何者にも惑わされないオーソドックスで自分に頑固な考え方をいつまでも心の真ん中に据えて生きて行きます。