蒼穹舍にお伺いする前に4冊のプロトタイプブックを制作したばっかりに何が良いのか分からなくなった
写真集制作にあたり2018年に冬青社に作品を持ち込み色々お話をお伺いして更なる作業(撮影ではなく関係者への取材)を進め1年ちょっと、、2020年となってしまった。
冬青社は社長が高齢で出版を2020年で辞めることが決まっていたので別の出版社を探すことから始めることとなる。
どこか良い出版社がないものかと探し、8月に神楽坂にギャラーを構える『BEHIND the GALLERY 』とメールでやりとりしたりしたり、9月に本橋成一さんも出版されてる『ふげん社』に足を運んで作品を見ていただき見積もりを制作して頂きましたが何かひとつピンと来るものがなく途方に暮れていたそんな時、早崎スタジオ時代の恩師、村田昇氏から蒼穹舍を勧められた。
蒼穹舍はこの業界では知名度があり自分の中では敷居が高と感じていたのと編集(写真の順番、デザイン)全てがお任せなので心のどこかで避けていたのだが村田さんに背中を押される感じで10/3蒼穹舍のオーナー兼編集者の大田通貴さんに電話でアポ取りして10/4に作品を持ち込んだ。
新宿御苑の近くにある古いテナントビルの3階でギャラリーを併設している本屋の一角に本と資料に囲まれた大田さんのデスクがあり彼は誰かの紙焼きをシャカシャカと音を立ててリズミカルに見ていたかと思うと突然手が止まり紙焼きの順番を変えてまたシャカシャカと紙焼きプリントを次から次えと見ていく。その手慣れた手付きは職人のようでもあり見ていて飽きないしプリントの流れが手を止める旅によくなっていくのが分かる。やはり大田さんは凄い人だなと思いこの人と仕事がしたいと思っていると彼は私に気付き手を止めた。
「澤田さん?ちょっと待ってて」と言ってまたリズミカルに手を動かす。
一通り作業が終わたのでお互い自己紹介をし、私は早速プリントが100枚程入った箱を手渡す。
すると彼はプリントを最初からシャカシャカと音を立ててリズミカルに最後まで見たかと思うと今度は最後から逆にシャカシャカと音を立ててリズミカルに最初のプリントまで見ていった。この作業を2回繰り返し「いいね!面白くなるかも」と言いながらシャカシャカとプリントを送り「特に最初の掴みがいい」と言った
私は「お願いできますか」と尋ねると
彼は「私がやると最初の部分は残すかもしれないが写真の順番は好きに弄るからぐちゃぐちゃぶになるよ」
私は「プロトタイプのブックを5冊作り今ではどの順番が良いのかわからない状態です。大田さんの仕事は見てますし信頼しておりますので全てお任せいたします」と答えた。
すると彼は「今は5冊同時進行してて忙しいから11月入ったらまた持ってきて」ということになった。
10月中に元クラウンの元林さまの取材があったので丁度良かったと思い11月に再度持ち込むこととなった。
急いでる訳でもないし今更急いでも良いことは一つもないのである。
その分楽しむ時間も増えるのだ。。